冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす

「母親だわ」
「見てみなよ」

促され、メッセージをあける。

「えっと【明日、お父さんと会いにいきます】だって」
「へえ、たまに未来ちゃんに会いに来るって言ってたもんね」
「うん、たまに来るんだけど……」

急だな、と思った。普段は一週間以上前に連絡がある。
もしかして、望の件で何か進展があったのだろうか。
望の友人で、奥村フーズの同期である作田(さくた)くんにはしばしば連絡を入れているけれど、彼からは特に新しい情報はない。

「未来ちゃん、じいじとばあばが来るってさ。楽しみだねえ」

藍は未来を膝にのせて語り掛ける。未来はわかっているのかいないのか、「あーい」と答えていた。



翌日、午前中のうちに両親はやってきた。平日なので、父は仕事を休んできているのは間違いない。

「何か急ぎのことがあったの?」

やってきたときから顔色の悪い両親に私はつとめて明るく声をかけた。未来がひっくり返さないようにテーブルの真ん中に冷たい麦茶を置く。
未来は両親のいるローテーブルにつかまり、自分のマグを探している。一緒にお茶を飲みたいようだ。未来の前にもマグ入りの冷たい麦茶を置いてあげる。