冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす

「明日海はシングルマザーにあたるのに、優先順位が低いなんてひどいよねえ」
「どうしても、すでに仕事がある人が優先だから。藍からもらっているお仕事は在宅でできてしまうし、ポイントが低くなっちゃうんだ」
「でも、最終的には未来ちゃんのために、どこか正社員でフルタイム働けるところを探したいんでしょう。これ、本当に矛盾感じるよね。仕事を決めたいから保育園に入れたいのにね」

藍の言う通りなのだ。未来のためにもそのうち外で働きたい。正社員の職を探したい。しかし保育園が決まらない以上探せないし、職がなければ保育園入園の優先度は下がってしまうのだ。

「いっそ、うちの寺田印刷の正社員になる? ちょっと遠いかな」
「ありがたいけど、そこまで藍に甘えられないよ」

家族で経営している印刷所だ。従業員をひとり雇えば、それだけ支出も増える。

「本当に困ったら言うんだよ」

藍の優しさには感謝している。この街でひとり子育てができるのも、藍のような頼りになる友人がいるおかげ。未来も、私以外の大人と触れ合う機会ができて、さらには遊びにも連れ出してもらえて。だからこそ、甘え過ぎたくないのだ。

この子をひとりで育てると決めたのは私の決断なのだから。少なくとも、貯蓄や藍に頼らずに生活できる仕事を見つけたい。

「あ、明日海、スマホ」

藍に言われ、テーブルの上のスマホを見ると、新着メッセージがきていた。