東京にはいかない。私と未来を誰かが見とがめないとも限らないもの。
もし、私が子連れで歩いているのを、奥村フーズや笛吹製粉の誰かが見ていたとしたらどうだろう。私とあの人についてどの程度噂があったかは知らないけれど、未来の容姿を見たら察する人もいるのではなかろうか。
そしてそれがあの人の……豊さんの耳に入ったとしたら。
それだけは絶対に避けたい。私は未来とふたりで生きていくのだ。この子に父親はいない。それでいい。
私は小さな寝息をたてる未来のお腹にタオルケットをかけ、居間に戻った。仕事を片付けてしまうために。
「なるほどね、じゃあ都内のプールに行こう計画はやめておくわ」
アイスコーヒーを一口含み、藍が言った。私は謝る。
「ごめんね、せっかく誘ってくれたのに」
今日は藍が我が家に仕事の打ち合わせでやってきている。私が藍の会社まで行こうとすると、未来を連れてバスになる。真夏にそれは大変だろうと、藍が車で来てくれているのだ。
「いいの、いいの。タダ券っていってももらったものだし。ほら前みたいに水遊びできる公園行こうよ。水遊び用のオムツはかせてさ。私、車出すから」
大学時代から藍は面倒見のいい女子だった。彼女には私の事情をあらかた話してある。未来の父親についても、藍にだけは話してある。しかし、都心部に出たくないという話は今回初めてした。
人の多い都心部。レジャースポットまで警戒する必要はないとは思うのだけれど。
もし、私が子連れで歩いているのを、奥村フーズや笛吹製粉の誰かが見ていたとしたらどうだろう。私とあの人についてどの程度噂があったかは知らないけれど、未来の容姿を見たら察する人もいるのではなかろうか。
そしてそれがあの人の……豊さんの耳に入ったとしたら。
それだけは絶対に避けたい。私は未来とふたりで生きていくのだ。この子に父親はいない。それでいい。
私は小さな寝息をたてる未来のお腹にタオルケットをかけ、居間に戻った。仕事を片付けてしまうために。
「なるほどね、じゃあ都内のプールに行こう計画はやめておくわ」
アイスコーヒーを一口含み、藍が言った。私は謝る。
「ごめんね、せっかく誘ってくれたのに」
今日は藍が我が家に仕事の打ち合わせでやってきている。私が藍の会社まで行こうとすると、未来を連れてバスになる。真夏にそれは大変だろうと、藍が車で来てくれているのだ。
「いいの、いいの。タダ券っていってももらったものだし。ほら前みたいに水遊びできる公園行こうよ。水遊び用のオムツはかせてさ。私、車出すから」
大学時代から藍は面倒見のいい女子だった。彼女には私の事情をあらかた話してある。未来の父親についても、藍にだけは話してある。しかし、都心部に出たくないという話は今回初めてした。
人の多い都心部。レジャースポットまで警戒する必要はないとは思うのだけれど。



