たくさん遊んでたくさん食べてよく眠ってくれるなんて、うちの娘はなんて健康で素敵なんだろう。
もちろん、こんなふうに素直に寝てくれないときもあるし、いまだ夜泣きは毎日のようにある。この子が生まれてこの方、毎日が緊張状態といっても過言ではない。だって、私の肩にこの子の命がかかっているんだもの。

だけど、この子は健やかに日々成長してくれている。私の生きる上での大きな希望だ。

未来を抱き上げ、寝室にしている和室へ。お布団に寝かせて、汗ばんだ額を撫でた。
よく似ている。こんなとき、そう思う。
未来の髪と瞳はあの人と同じ色をしている。鼻筋の通ったところも、唇の感じも似ている。

だけど、それだけだ。すべては通り過ぎていったことであり、私にもこの子にも関係がない。

今から一年と十ヶ月前、私は都内の実家を出てこの街にやってきた。
両親とは連絡を取り合っているし、弟の捜索は続けているので、彼の同期とはメールなどのやりとりがある。しかし、私は一度たりとも都内に戻ったことはない。
この街の病院で未来を産み、貯蓄を切り崩し、編集の仕事を家計の足しにして、この子を育ててきた。これからも私は未来とこの街で暮らしていく。