冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす



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「ぱぱー」

室内で呼ぶ声が聞こえ、俺は振り向いた。未来がベッドの上で座って、目をこすっている。かなり早くに眠ってしまったせいか、こんな時間に起きだしたようだ。
しかし、夜泣きをするかと思っていたのに、未来は静かだ。

「未来、まだ夜だよ。ねんねしよう」

室内に戻り抱き上げると、俺の肩に頭をこてんと乗せ眠たげだ。少し揺らしていれば眠るかと、抱きあげた状態で室内を歩き回る。しかし、逆効果だったようで、未来の目はらんらんと冴えてしまった。

「やっぱり起きちゃいましたか」

そう言って、明日海も起きだしてきた。眠っていればいいと思うのだけれど、育児中の母親というのは眠りが浅いようで、子どもに合わせて起きてしまう。

「夜のお散歩に出ましょうか」
「そうだな。寒いから温かくしていこう」

未来には温かなポンチョを着せ、眠った後のことも考え、明日海が抱っこ紐で抱き上げママコートの中に入れた。温かなカバーオールを着せてしまうと、ベッドに下ろして脱がせているときに目覚めてしまうのだ。
俺もジャケットとマフラーを身に着け、三人でホテルの部屋を出た。

高原の夜はしんとし、東京よりずっと冷える。その分、空気は澄んでいて星空がよく見えた。

「未来、お星さま、綺麗ね」
「しゃまね」

未来が言葉を中途半端にまねるのが可愛らしい。