冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす

強引な手法だった。
奥村フーズから子会社化の希望はうっすら聞いていたので、利用することにした。そして、消えた弟を誘き出すためにそばにいろと彼女に命じた。

愛されるはずのない同居生活のスタート。せめて、彼女と娘から距離を取ろうと思っていたのに、明日海は俺に接してくる。未来に触れさせてくれ、家にいてくれと言う。食事を用意し、迎えてくれる。
近づいていく距離をもどかしくも嬉しく思った。

さらに未来の存在が俺を癒してくれた。
共にいればいるほど、未来は愛おしく感じられた。俺と同じ髪と目の色をした未来。たぶん贔屓目でなく、俺に似ている。
やはりこの子は俺の子だろうか。
しかし、当時の明日海には恋人がいたという。その男との子であると聞けば、それ以上は追求できなかった。そして、俺は恋人のある女性に迫っていたのかと、自身の愚かしい片想いを恥じるしかできなかった。


すべての誤解がとけ、俺たちが歩み寄るには時間を要した。
彼女が実はずっと俺に惹かれてくれていたと知ったときの喜びはたとえようがない。本当の意味での家族として三人で歩んでいこうと決めた俺たちは、入籍と結婚式を迎えることができた。

今日、この日が区切り。俺は必ずふたりを幸せにしよう。