冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす

帰宅する頃には未来はすっかり目覚めた。
豊さんが未来と遊んでくれているうちに夕食の準備を進める。未来も食べられるものが増えたし、寒くなってきたので今夜はお鍋にしよう。柔らかめの鶏団子は、未来も喜んで食べてくれるだろう。用意したおいた材料を並べていく。

「明日海」

豊さんが未来を抱いてキッチンにやってきた。

「なんですか? お夕飯はもう少し待ってくださいね」
「今日は父に会ってくれてありがとう。それと、あらためて思ったことがある」

私は豊さんの顔を見つめる。

「結婚式をしないか?」
「結婚式……?」

私は驚いておうむ返しをしてしまった。私と豊さんの式という意味だろう。

「お互いの親にも、俺たちにも、未来にも、いい記念になると思う。望くんたちを呼べないのは申し訳ないが」
「望たちは可世さんの出産もあるので仕方ないです。でも……いいんですか?」
「家族のけじめとして、俺は結婚式をしたいと思う」

結婚式に夢があったわけではない。
だけど、豊さんが私のため、家族のため、一区切りの儀式として考えてくれているのがわかる。それに、結婚式を挙げれば、きっと親孝行にもなるだろう。

「はい。結婚式、したいです」
「よかった。急だが、来月なんてどうかな」
「本当に急!」
「未来、お姫様みたいなドレスを着ような」

豊さんの言葉に、未来が「あーい」と手をあげて返事をした。本当に、どこまでわかっているのかしら。

「なんだか、すごくわくわくしてきました」
「明日海のウエディングドレス姿が、一番楽しみだ」

豊さんは甘い笑顔で言うので、嬉しさと恥ずかしさで、私は照れ笑いをするのだった。