冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす

翌日に出た週刊誌の報道はやはり深刻な事態を招いた。
報道が出るとまず笛吹製粉には取材の申し込みが殺到したらしい。

笛吹製粉の名は不本意な形で、SNSのトレンドに入り、事情を知らない人たちが好き勝手に報道に対して騒ぎ出す。株価にもすぐに影響が出るのだから、恐ろしい社会だ。真実など誰も知らないくせに。

そしてどこから嗅ぎつけてくるのか、マンションの周りにもマスコミと思しき人たちがカメラや三脚を用意して張っているようになった。噂の愛人と隠し子を激写したいようだ。
さらには我が家の様子をのぞこうと近隣のマンションの高層階の部屋に上がり込み、カメラを向ける記者たちも現れた。
我が家のベランダの写真がネットニュースに上がっていると藍が教えてくれ、私と未来はベランダに出られないばかりかカーテンすら閉ざさなければならなくなった。角度的に我が家の室内を撮影できるマンションは近隣にはない。ドローンでも飛ばさない限りは室内までは探られないとは思う。
だけど、そこまでして私たちのプライベートを暴きたい人たちがいるということにぞっとした。

私と未来は完全にこの部屋に引きこもった状態となった。母がたまに買い物をしてきてくれるし、藍も物資を送ってくれる。しかし、どちらも頻繁には頼めない。望にも近づくなと言ってある。可世さんの一番の関係者が望なのだ。

藍には仕事も止めてもらった。作田くんの奥さんのゆなさんが出産を迎えたけれど、会いに行くこともできそうにない。