冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす

「中安は、強引なところのある人です。望さんと可世が会い続けられるよう手引きはしますが、私では夫を説得しきれないかもしれません。笛吹家の皆様にも何をするかわかりません」
「ひとまずは、可世さんと望が会えるようにしていただけたことがありがたいです」
「娘と、やがて生まれてくる孫の幸せが、母親にとっては優先です。できることはしますので」

そう言った中安夫人はひとりの母親の顔をしていた。
中安夫人のおかげで、ふたりの精神面は安定するだろう。しかし、肝心の話し合いは平行線のままだったそうだ。

その晩帰宅した豊さんが言うには、中安議員の弁護士は可世さんの体調不良を理由に、回復するまでこの件を保留にしてほしいと言ってきたそうだ。こちらの要求は、可世さんの監禁を解いてふたりの結婚を認めることだ。
可世さんに危険が及ぶような状況ではないため、警察も積極的には介入できないだろう。
なにより、警察沙汰になれば笛吹製粉も中安議員もイメージダウン。どちらも避けたいところだろう。

私の報告により、望と可世さんが中安夫人の手引きで会える状況になったため、ひとまずは中安議員側のリアクションを待つ方向でこちらは納得した。