冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす

「調整する。その分、今日の午前中に会社に顔を出してくるよ。未来は遠出になるから、可能ならきみのご両親に預けた方がいいだろう」

私が熱を出したときも泊りがけで預かってもらっている。急に預ける分には対応してくれるだろう。でも、なんと理由をつけよう。

「あの、両親にはまだ望の目撃情報のことを話していないんです。ぬか喜びさせたくなくて」
「なるほど。それなら、俺の仕事関係の会食があって、妻同伴ということにしよう。急なことで申し訳ないと、未来をあずけるときに俺も一緒に詫びる」

すぐにそんな提案をしてくれる。それなら、両親には疑われることなく出かけられそうだ。

「未来には、申し訳ないな。今日だって、本当は未来と三人で出かける予定だったのに」
「お天気もこうですし、未来にはまた今度埋め合わせをしましょう。……でも、本当にいいんですか？」

豊さんはしっかりと頷き答えた。

「ああ、奥村望は俺の義理の弟になる。家族を探すのは当然だ」
「豊さん」
「それに中安可世にも謝りたい。俺は、明日海を好きでいながら、父と中安議員の勧めで彼女と婚約した。最初から、彼女の気持ちを裏切っていたのは俺なんだ。身体を繋ぐような関係ではなかったし、食事程度のデートしかしなかったが、それでも婚約者だった俺に責任は大きい」

豊さんは自嘲気味に言い、立ち上がった。

「よし、そうと決まれば出勤してくるよ。明日海、一泊旅行の仕度を頼む。俺の荷物は出しておく。あとは、奥村社長への連絡を頼んでいいか」
「はい、もちろんです」