「本当か? きみも俺を好きでいてくれたなんて」
「本当です。そうでなければ、あんなお話に乗ったりしません。豊さんだから抱かれたんです」
「ずっと、俺だけが好きなのだと思っていた。この生活も、俺が幸せなだけで本質的にはきみと未来を不幸にしていると思っていた」

だから、彼はせめてなるべく関わるまいと、金銭的に不自由させまいと考えていてくれたのだ。私は首を振り、答える。

「私はあなたへの気持ちを封印したつもりだったから、あなたに優しくされるたび揺れてつらかったです。恋を思い出しそうで、何度も心を殺しました」
「俺も、きみに家族として優しくされるたびにうぬぼれそうになった。認められて求められているようで、このまま本当に家族になれるんじゃないかと……」

私は彼の両頬をつつみ、背伸びしてキスをした。

「嘘をついていて、ごめんなさい。私が素直に言えば、あなたは楽になったのに」
「いや、俺がきみの弟への否定的な感情を口にしていたせいだ。恨まれていると思えば、きみは未来の真実を言えない。でも」

再び豊さんが口づけてくる。もう我慢できないというような性急なキスに、私は唇を薄く開けて応えた。深く組み合わされ、舌を絡められ、その感触に震えた。身体中の細胞が喜んでいる。

「伝え合えてよかった。ありがとう、明日海」

ソファに座らされ、キスは続く。
ついばむように何度も何度もキスをされ、足りなくて舌を出せば甘く吸い取られた。