冷徹御曹司は過保護な独占欲で、ママと愛娘を甘やかす

「明日海さん、俺たちはそれでいいですけれど、笛吹副社長にはなんて説明するんですか」

作田くんに言われ、さすがに私も一瞬言い淀んだ。両親と同じ言い訳で通じるだろうか。豊さんは、私が実家に行ったり、友人に会うことを勧めてくれている。遠出というのも、気晴らしになるくらいに考えてくれるかもしれない。

一方でそんなに簡単に騙されてくれる人じゃない気もした。
未来のことだって、どこまで知られているか……。

「どうにかするわ。豊さんに、望の存在をほのめかすわけにはいかないから」
「そうですよね。まだ望に悪感情があるなら、先に俺たちが見つけて望と謝罪について相談したほうがいい。望の駆け落ち相手って、中安議員のひとり娘じゃないですか。そっちも、何を言ってくるかわからないですもんね」
「そうなの。まずは私が会って、その後作田くんや両親と相談すべきだと思う」

そもそも望が見つかるかが鍵なのは変わらない。でも、今まで一番大きな進展だ。ここはなんとしても逃したくない。

ふたりに改めてお礼を言い、帰路についた。機嫌を回復してからの未来は、作田くんの家を元気に歩き回りきゃあきゃあと叫んでいた。
疲れからか、タクシーに乗るとぐっすりと眠ってしまった。なんて忙しい女子なのかしら。