「えっ」


今、昂輝が謝った?!


わたしは、うつむいていた顔を上げる。


「お前の短冊、破ったりして悪かった。これ……」


そう言って昂輝が、わたしに渡してきたのは……。


【アイツと両想いになれますように】

と書かれた、この間ゴミ箱に捨てたはずのしわしわになった黄色の短冊。


ビリビリに破られた紙を、ひとつひとつ合わせて、セロテープでくっつけてある。


「昂輝……」


まさかゴミ箱から拾って、直してくれたの?


「すげー不恰好になっちゃって、ごめん。こんなんで許してもらえるとは、思っていないけど。あのときの俺、すげぇ子どもだったなって反省してる」


短冊を持つ昂輝の手が、少しだけ震えているようにも見える。


「あのとき、お前に好きな人がいるって知って。俺……ものすごく嫌だったんだ。それで、こんな願いは叶わなくて良いって思って、つい破ってしまった。最低だよな」


昂輝が話しながら、しわしわの黄色の短冊を竹の笹に結ぶ。


「本当は、自分が好きなヤツの幸せを一番に願ってやらないといけねぇのにな」