「……え?」


突然、声がしたと思ったら。


後ろから誰かに、持っていた短冊を取られてしまった。


「俺が結んでやる」


その誰かは……昂輝だった。


「あっ、ありがとう」


わたしは驚きながらも、素直にお礼を言う。


【志望校に合格できますように】


昂輝に結んでもらったばかりの、そう書かれた薄青色の短冊が、ふわりと吹いた風で揺れる。


「……お前、願い事変えたんだ?」

「まぁ、こっちが本命というか。一応、受験生ですから」


「……そっか」


それからしばらく、沈黙が流れる。


「……あの、さ」


気まずい沈黙を破ったのは、昂輝だった。


「その……この前は、ごめん」