そうして迎えた、7月7日の七夕。


梅雨だから今日も例年通り、天気はあいにくの曇りだ。


短冊を破られたあの日から、昂輝とはなんとなく気まずくてお互い口をきいていない。


そんな中でわたしは、新たに願い事を書いた短冊を竹の木の笹に結ぼうと放課後、昇降口へとやって来た。


七夕当日だからか、すでに沢山の生徒の短冊が笹に結ばれていた。


家族の健康。

欲しいもの。

将来の夢など。


色とりどりの短冊と、そこに書かれた沢山の願い。


皆の願いが、叶うと良いな。


そして今夜、織姫と彦星が会えると良いな。


竹の笹を見つめながら、そう思った。



「んーっ。ダメだ、届かない」


竹の笹の下のほうは、すでに短冊で埋めつくされており、上のほうにしか結べそうなところはなく。

身長150cm弱のわたしは、背伸びしてもなかなか手が届かず結ぶのに苦労する。


「……貸せよ」