桐葉さんの言葉を聞いて、だから『仕事に私情を挟むと自分の首を絞めるだけ』なんて言ったんだなと、ここまで話を聞いてしまうと、嫌でも納得せざるを得ない。
彼なりに気を遣ってのセリフだったんだ。
「気を付けます……」
昼間にもこの人に捨て台詞のように同じ言葉を吐いたけど、今度のは少し意味合いが違って素直な気持ち。
女嫌いの原因が、過去の女性関係が拗れたからだったとは―――
他人に自分の話なんてしなさそうな桐葉さんが、ここまで全部告白してくれるとは思わなかった。だから正直、何から何までも驚愕すぎて……。
話してくれた理由って、私に言い過ぎた事への謝罪もある? もしそうならこの人にしては珍しくもあり意外すぎだけどな。
***
私も何杯目かのお酒のおかげか、それとも桐葉さんと飲みながら喋っているせいなのか、いつもより少しほろ酔い気分。そんな中で彼が自分の事を話してくれたりなんてするから、私もつい口が滑る。
「私は……ずっと仕事ばかりだったから。だから終わったんです」
隣で桐葉さんが私の方に目を向けているのは微かに視界に入ってくるからわかる。
私も自分から言っておきながら思う。手に持つグラスを見つめたまま何を言い出しているんだろう、って。



