心底呆れて2人を見ずにいたけれど、凪が茉莉愛ちゃんの体を支えながら入口にいた数人の同僚に預けつつ一緒に出ていったのが視界に入る。
あー……これで私、完全にワルイ女じゃん。
誰もいなくなった部屋で独り、脱力してストンと席に腰掛けて項垂れてしまう。悔しさから泣きそうで目頭が熱くなるとか、この歳にもなって情けない……。
それでも、無情にも腕時計の秒針が次の仕事の時間を告げるから涙を流さずに済んだ。職場で嫌な思いして仕事に救われるなんて本当、皮肉。
「ふぅ……、よし」
堪えていた涙も引けてもう1度資料一式を手に入口へと歩き出すと、今度は別の人物が現れてドアの前を封鎖した。
「……なんですか」
私の行く手を塞いだのは、またしても桐葉さん。いつも悪いタイミングで現れるから、彼もわざとなんじゃないかとすら思う。
一向に退こうとせず、相変わらずの態度で腕を組んで何か言いたげにこっちを見下ろしている。
「打ち合わせに遅れるんですけど、そこを――」
「持ち堪えたらしいな」
「は?」
見下ろしたままわけのわからない一言に怪訝な顔を向けてしまったが、桐葉さんは関係ないと言うように続ける。
「散々だったみたいだから、泣いてると思ったんだが」
その言葉で理解した。さっきの私達のやり取りを聞かれていた事に。
あー……これで私、完全にワルイ女じゃん。
誰もいなくなった部屋で独り、脱力してストンと席に腰掛けて項垂れてしまう。悔しさから泣きそうで目頭が熱くなるとか、この歳にもなって情けない……。
それでも、無情にも腕時計の秒針が次の仕事の時間を告げるから涙を流さずに済んだ。職場で嫌な思いして仕事に救われるなんて本当、皮肉。
「ふぅ……、よし」
堪えていた涙も引けてもう1度資料一式を手に入口へと歩き出すと、今度は別の人物が現れてドアの前を封鎖した。
「……なんですか」
私の行く手を塞いだのは、またしても桐葉さん。いつも悪いタイミングで現れるから、彼もわざとなんじゃないかとすら思う。
一向に退こうとせず、相変わらずの態度で腕を組んで何か言いたげにこっちを見下ろしている。
「打ち合わせに遅れるんですけど、そこを――」
「持ち堪えたらしいな」
「は?」
見下ろしたままわけのわからない一言に怪訝な顔を向けてしまったが、桐葉さんは関係ないと言うように続ける。
「散々だったみたいだから、泣いてると思ったんだが」
その言葉で理解した。さっきの私達のやり取りを聞かれていた事に。



