自分の耳を疑った。
え、なに? ベッドの中って―――
「私……初めてだったんです。その……男性とするのが……。彼はそれを知ってとても優しくしてくれたんです」
その時の状況を思い出しているのか、顔を赤くしモジモジと照れながら恥ずかしそうにしている。
何これ。こっちはそんな報告聴きたくないんですが。
「でも凪くんって、ちょっと意外で……結構強引だから……」
やめて。フッた元彼の夜の情事なんて知りたくも、想像したくもない。それも相手が職場の後輩だなんて、あんまりだ。
単なる嫌がらせ? それとも本当にただ純粋に感想を言ってるだけ? どちらにしろこっちの気分が悪くなる事には変わりない。
これ以上はもう、黙って聴かされるのが限界。
「そっかそっか。相性も良かったみたいだし、幸せそうで何より」
平然を装い、強張る笑顔で最後に振り絞るように大人の対応をしたのに。
このコの一方的な報告は、《《わざと》》でしかないのが明らかだった。
「凪くんとは、体の相性も凄く良いんです。とても気持ち良くて私何度も……」
何よりも1番耳にしたくなかった言葉に、私の中でプツンと何かが切れる音がする――――
「もうやめて!! いいかげんにしてよっ!」
気が付けばグッと拳を強く握り、思い切り怒鳴ってしまっていた。



