間接的にでも凪がそう言っていたと思うと、ズキンと痛む胸の奥はもっとずっしりと重みが掛かって苦しくなる。
付き合うって何？ 凪にとっての“彼女”であった私って……
「今もまだ、凪くんは棗さんに気を遣っているのかどこか元気がないように見えます。せめて私の前では笑っていて欲しいのに……」
哀しそうに、茉莉愛ちゃんは目線を落とす。
彼女の口ぶりから私を責めているように聞こえてしまうのは、ただの被害妄想？ 『私の前では笑顔でいて欲しい』って、まるで”自分だけ特別でありたい”て言ってるようなもの。でも好きって、そういう思いになるのは仕方ないのかな。
凪との事は茉莉愛ちゃんには関係ないはずなのに、これじゃ私が部外者みたい。本当の気持ちを何も知らなかったんだから当たり前か……
「これから……今度は私が彼の傍にいて、支えてあげたいと思っています。大切にしたいです」
スッと顔を上げ、覚悟を持った瞳で真っ直ぐ私を見る彼女に『そう……』としか言葉が出てこなかった。
言い返す程の怒りより先に、元カノ相手にここまで宣戦布告が出来るこのコの神経に驚いたのと、女って怖いなと感じたのが正直なところ。こんな冷静な自分も可笑しいけれど、その感情は一瞬だった。
茉莉愛ちゃんの一言さえなければ――――
「凪くんは優しいです。ベッドの中でも……」
