慌てふためきながら必死に否定するか、開き直って潔く認めるかのどちらかかなと考えていたけれど、実際は違っていた。
「あれは……凪くんが悩んで辛そうだったから……」
思わぬ返答に、一瞬頭の中にハテナが浮かんだ。
凪が悩んでるって? 辛そうって、どうして? このコは何を知っているって言うの?
「凪くんが話してくれたんです。このまま付き合っていて良いのかわからないって……もう好きでいるのが辛いって。それで……」
「なに、それ……」
想像していた答えじゃなくて唖然と立ちすくんでしまい、手に込められていた力が抜けて持っていた書類を床に落としそうになった。おかげで我に返り、手に持つもの全部を1度デスクの上に戻すも、心臓がドキドキと痛いくらいに脈打っていて震えている。
凪が私との事で悩んでいたなんて知らなかったし、気付かなかった。いつから? 何が原因? 私には何も話してくれなかったけど茉莉愛ちゃんには相談していて、体まで重ねたって? そんな昼ドラみたいな事ってあるの?
考えようとしても頭が真っ白状態。
「今年に入ってから悩んでいました。ここ最近は特に苦しんでいて。別れたいってずっと言っていましたから……」
彼女の言葉が鋭い矢のように突き刺さってくる。真実かどうかなんて凪から直接聞いたわけじゃないのに。
本当に真実じゃない?



