最後の恋って、なに?~Happy wedding?~


 とは言え『そういう理由(ワケ)があったんだ』ってわかっても、やっぱり避けられるのはもう嫌かな。
 ちょっと寂しかったし……

 だからちゃんと私も言わなきゃなって。

「あの、支配人」
「なんだ?」

 お互い畏まって向き合い目を合わせると、なんとなく緊張する。……って、そんなの私だけか。
 でも、改まるとまるで告白みたいだ。

「杉森さんとの事を気に掛けてくれたのは嬉しかったです。だから私と距離を置いたんですもんね?」
「あ、あぁ……」
「そう、ですよね。ありがとうございます。……ですが、これからはもう、避けないでください」
「!?」
「支配人に避けられるの、嫌なんです」

 ハッキリと言ってしまった。……ストレートすぎた?
 本当はもっと上手に伝えられたら良かったんだけど……

 やっぱりこんな急に言われても驚くのは当たり前。桐葉さんはビックリした表情で固まっている。
 いきなり意味わからないこと言われたら、さすがに困るか。

「あ、すみません、いきなり。なんと言いますか……避けられたら仕事にも支障が出ますからね。なので今後も普通に接して貰えると助かるなと……」

 今更ではあったけど言い訳をしてみるけど、やっぱり彼は少し面食らった顔でフリーズしている。

「支配人……?」

 『おーい』と声を掛けながら彼の前で掌をヒラヒラさせると、ようやくハッと我に返ってくれた。