拒絶されていたんだと思っていたから……
「女って難しいな。特に真夜みたいな癖があるヤツは、対処の仕方がさっぱりだ」
彼は『今後どうするかが問題だ』と腕を組みながら頭を悩ませている。
私も考えていた。
桐葉さんから話を全部聞くと、色々と合点がいく。
杉森さんが妙に私にだけ態度が悪かったのも、桐葉さんが避けていたのも理解出来た。
とは言え、そもそもどうして私が言われるターゲット?
「初日から杉森さんに嫌われていますけど、私なにかしたんですかね。身に覚えがないんですが……」
「それに至っては俺も知りたいくらいだ。まぁあの女の事だ。どうせ俺達がデキてるとでも思ったんだろ」
「デキてる……」
確かにそういう誤解からならあの態度になるのも頷ける。女の嫉妬の執着が面倒なのは、茉莉愛ちゃんの時にわかって懲りているし。出来れば穏便に、杉森さんの熱が冷める事を願うばかり。
「さて。色々話したが今夜はもう遅い。明日に響いたらマズイからな、この辺で帰るか」
「あ、もうそんな時間ですか」
桐葉さんに言われ腕時計を見ると、すでに22時をまわっていてここに来てから3時間も経ったのがわかる。
そんなに話していたんだ。なんかあっという間に感じるな……。
「今日は悪かったな、待ち伏せしてたみたいに急に。」
「待ち伏せって。確かに」
鞄から財布を取り出しながら真顔で言う桐葉さんの言葉に、思わず笑ってしまう。



