最後の恋って、なに?~Happy wedding?~


 そうなんだろうなとは薄々気付いていたけど、どうしてなのか思い返してみても理由がわからなかった。
 それは今だって。

「ヨリを戻したんじゃないなら、どうして避けていたんですか? 私なにかしました?」

 重ねた質問に答えない訳にはいかないと思ったのか、彼は溜め息を1つ吐き口を割って話し始めた。

「お前の為と思ったんだ」
「私の?」
真夜(あいつ)の嫉妬深さは今に始まった話じゃない。いくら仕事だとは言え、一緒にいるところを見たらあの女は何を言い出すかわからない。お前に矛先を向ける恐れがあったんだ」
「もしかしてそれで……?」
「あぁ。なぜかアイツはお前にだけヤケに絡んでくるから嫌な予感がしてな。桜林の時みたいな出来事を恐れて、俺が少しでも離れればお前への当てつけも減ると思ったんだが……」

 『そうでもなかったな』と気弱に話す桐葉さんの横顔を見ながら、私は……固まった。

 この人は最初からずっと私を守ってくれていたんだ。被害に遭わないように、嫌な思いをしないようにと距離を空けて遠ざけて。

「棗? どうかしたか?」

 瞬きを忘れてガン見していたからか桐葉さんは心配そうな顔で私に声を掛けてきて、それでハッと我に返った。

「あ、いえ……なんでもない、です」

 ただただ私はビックリしている。
 桐葉さんが私の為に、考えて動いてくれたなんて……