そう考えるとあの写真は───
「支配人の家にあったあの写真は、いつ撮ったものなんですか?」
「あーあれか。あれは付き合った日だ」
「え……」
って事は、あの写真のあと真昼さんは……
「まさか最初で最期の写真になるとはな……」
やっぱりそういう事だったんだ。
聞けば聞くほど重い内容で、お通夜のような空気も相まってずっしりと全身で疲労感を味わっている。
桐葉さんも哀しそうな表情で頬杖をつき、空いてる手でグラスを回して氷の音を聴いているように思い、それすら切ない気持ちになる。
そんな私の心を汲み取ったのか、桐葉さんは気に掛けてくれた。
「あー、悪いな。空気を悪くしてしまった。そんなつもりじゃないんだ」
フォローしてくれる言葉でさえ哀しさが増す。
好きな人を突然失って、桐葉さんはずっと辛かったと思う。
その悲しみは計り知れない。
きっと2人とも、これから始まる新しい毎日を楽しみにしていただろうし、幸せが待っていると信じていたはず。
それなのにまさか心が通じ合った日になんて……
「……っ」
お酒も入っているせいか涙腺が弱くなる。
やっぱり私は泣き上戸らしい。
「お、おいっ どうして泣くんだっ」
隣で急に泣き始めた私に、桐葉さんは柄にもなく慌てた様子でまたハンカチを手渡してくれた。
また優しい……



