自宅に写真も飾るくらいなんだから、よほど愛していたんだと思う。
って、過去形なのかな。そもそもその人とは今どうなっているんだろ。桐葉さんに彼女がいるようには見えなかったけど……
「その後、お姉さんとはどうなったんですか?」
私がそう聞くと、彼は一瞬お酒を飲もうとする手が止まり表情も曇る。もしかしてこれはタブーな質問だったかもしれない。
「すみません、踏み込んだ事を聞いて。今のは忘れて───」
「亡くなったんだ」
「え……」
話さなくてもいいと言う前に、彼が発したその真実の一言に固まってしまった。
亡くなったって……どうして? というより、それは触れてもいい話なの?
「ビックリするよな。亡くなったなんて聞くと」
「あ、え……っと……」
硬直する私の反応はわかりやすかったみたい。それでもどう返したら正解なのかわからず言葉に詰まる。
「真昼が亡くなったのは、付き合ったその日なんだ」
「えっ!」
ただでさえショックすぎる内容で戸惑っているというのに、重なる不幸に思わず声が跳ねる。
同時に、心臓も跳ねる。
「一緒に出掛けていたんだが、途中で俺が仕事で抜ける事になって、別れた後に交通事故で……だから俺が知ったのはそのあと。連絡を受けて病院に着いた時にはもう……」
「そんな……」
「それまでは側にいたのにな」
彼は沈痛な面持ちで話す。



