軽蔑の眼差しを向けているのが桐葉さんもわかったらしく、彼はすぐに続きの説明を始めた。
「真昼と会わなくなってしばらくし、結果的には真夜とも別れて杉森姉妹とはそれっきりになっていた。だが1年近く経った頃、俺の働いてる式場に新婦の友人で参列した真昼がいたんだ」
「それが久しぶりの再会だったんですか」
「あぁ。変わらず明るくニコニコしていたな。元気そうで良かったって挨拶を交わした」
「じゃぁそこから2人は……」
「いや、彼女の方から食事に誘われて改めて連絡先を交換したが、その時は付き合う気持ちは微塵もない」
私に誤解を与えないようにか、こちらが聞く前に否定に入る。
「真夜の事もあったから、その時は誰とも付き合うつもりはなくて……彼女の気持ちを断ったんだ」
「それって……」
つまり“告白”……だよね。
真昼さんから付き合いたいって言ったんだ。そしてそれを桐葉さんは断っていたって事か──
「トラウマもあったし、真昼を見ているとどうしても頭を過って」
「あーなるほど……」
性格は違えど、同じ顔だもんね。
思い出さない訳ないか。
「それを伝えたが真昼は待つって言ってな。それで……」
「根負けしたんだ」
「変な言い方するな。好きになったんだ」
「そう……」
訂正したつもりの発言が、妙に刺さった。
桐葉さんが誰かを『好き』ってストレートに言うの、初めて聞いたから。



