そこだけはハッキリとしっかりした口調で言うから、思わず「はい!」 と背筋が伸びる。
私に伝えたい事って……?
「写真の女性の名前は、杉森真昼。真夜の双子の姉だ」
「真昼……さんですか」
「俺が初めて彼女と会ったのは、ちょうど真夜と付き合っていた頃。双子って言うだけあって、見た目がそっくりだなって驚いたのが最初の印象だった」
真昼さんとの出会いを穏やかに控えめな口調で話す桐葉さんは、当時を思い出しながら喋っているように思え、私は頷きながらそれ以上は相槌せずに聞く事にした。
「容姿は似ているが性格は反対なんだ。物静かで大人しい真夜に対し、真昼は明るく天真爛漫だったからな」
杉森さんは物静かで大人しい……?
あれだけ攻撃的な物言いで強気な態度のあの人が?
何かの間違いじゃないのかと思わずツッコミたくなったけど、話の腰を折る訳には行かないからここはグッと抑え、黙って続きを聞く事に。
「お前今『杉森真夜が大人しいはずがない』って思っただろ」
「い、いいえ? 全然そんな事まったく少しも思っていませんよ?」
心でも読んだのかと思うくらい的中するもんだから、首を横に振りながら全力で否定の言葉を並べてしまい、返って怪しさが増してしまう形に。
「棗って、動揺するとわかりやすいのな」
フッと少しだけ口角をあげて綻びを見せたその表情に、ドキッと油断する。



