気分転換に今日は仕事終わったら飲みにでも行こうかな。
ここのところ仕事が忙しくて全然行けなかった。以前までは桐葉さんと2人でお酒を飲んでた事もあったけど今はそれもなくなったし、だからそのせいなのかな……彼との会話が減ったのは。
まぁ今となっては顔を合わせなくて良かったのかもしれない。杉森さんの事もあるし何を話ししたらいいのかわからない。
「もしいたら帰ろうかな」
半分冗談めいた独り言を呟きながら、私は残りの仕事を片付けた───
***
19:00───
普段より少し早く仕事が終わり会社を出ると、夏空はまだこの時間でも明るく、日の入が長くなったなと感じながらBARへと足を進める。
もう夜の始めだというのに暑さが残っているのはきっと、熱気が残ったアスファルトにがまるで床暖房のようだからかもしれない。
こういう暑い日のお酒が美味しいって、身体は知っている。
お腹も空いたし早々に歩くスピードを上げ憩いの場に到着すると、いつものように扉を開け“カラカラ〜”とベルの音が合図する。
「いらっしゃいませ」
ニコリと笑顔で迎えてくれるマスターに私も『こんばんは』と挨拶をし、空いてるいつもの席へと移動ながらふと2つ隣の席に目を向けた。
・・・と、その人物を見てハッとする。
「うわぁ……」
《《定位置に座る》》その後ろ姿は身に覚えがあり、思わず声が出てしまった。



