なに。何か企んでる?
「気持ちはわかるわ。李月って良い男よね。仕事も出来るし、顔だけじゃなくて立ち振る舞いも格好いいんだもの」
「はぁ……」
恍惚とした表情で桐葉さんを褒める杉森さんに唖然としてしまい、思わず呆れた声が漏れた。
元カレの事をここまで褒めちぎれるとは……
「李月は誰にでも優しいからみんな彼を好きになっちゃう。だけど勘違いしないで。あなたに対して特別な感情なんてないの。彼のタイプではないわ」
「は、はぁ……」
タイプではないって……失礼では? 誰もそんなこと聞いてないし。
それになぜか今私、フラれた感じになってる?凄い決めつけの妄想発言で引いちゃったよ。
勝手に盛り上がって勘違いしているのは杉森さんの方だろうな。
そもそも桐葉さん、誰にも優しくないって。おかげで苦労しているし。
「話は以上よ。戻って結構です」
「え、打ち合わせは……」
言ってる間にすでに杉森さんは私に背を向けていて、また唖然。
まさかこの人、桐葉さんとの仲良しを見せつけるために私を最後まで居残らせたの?
そうだとしたら底意地が悪い。
散々呼び出されて言いたい放題言われ、熱愛を見せつけられ最終的に追い出される始末に、完全に彼女のペースに飲み込まれている。仕事だし揉め事は嫌だから大人しく聞いているけど、はっきり言って気分がいいものじゃない。



