「……瑠歌?」
パソコンの前であまりにボーッと考えていたせいで声を掛けられた事に気付くのが遅れ、ハッと顔を上げるとデスクの上から凪が心配そうな表情で覗き込むんでいる。
「あ、ごめん凪。どうかした?」
「どうかしたって……俺との打ち合わせの時間が過ぎてるんだけど……」
「えっ!?」
慌てて腕時計を見ると、凪との打ち合わせ時間を15分も過ぎていた事にも気付かされた。
私とした事が、余計な考え事をしていたせいで仕事に支障をきたすなんて。
「ご、ごめん! 今すぐ準備するっ」
すぐさま引き出しから打ち合わせファイルやらタブレットを集めて、一纏めに始める。
「俺は平気だけど……珍しいな、瑠歌が時間を忘れるなんて」
「そ、そう?」
「そうだよ。仕事でもプライベートでも瑠歌は絶対遅刻とかしないから。それに仕事中にボーッとする事なんてなかったのに、今日はどうかした?」
心配しているのが表情で窺える。
そんなに今日の私は様子がおかしい? 自分じゃ全然気付かなかったけど……
遅刻しないなんて当たり前の事をしているだけなのに。
「凪は私をよく見てくれているんだね」
「えっ」
「え、、」
凪が目を丸くしながら驚くから、こっちも一瞬時間が止まる。
もしてかして何かマズイ事を言ってしまった……?



