そして、、
次に出勤した時には、事態は急展開を迎えていた───
***
「茉莉愛ちゃんが辞めた!?」
出勤早々、桐葉さんのデスクに呼ばれて受けた報告に、驚きのあまり思わず大きな声を出してしまい『大声出すな、うるさい』と注意されてしまった。
仕事を辞めるほどだなんて……
「昨日お前が休んでいる間に、彼女がこれを渡しに来たんだ」
私とは反対に桐葉さんは動揺する事なく、なんならむしろ清々しい表情で茉莉愛ちゃんから受け取った退職願をデスクの引き出しから取り出した。
「そんな……急にどうして……」
「居づらくなったんだろ。まぁそりゃそうだろうな。上司に怪我を負わせたんだから」
「だからそれはっ」
「アイツの肩を持つのはやめろ。どんな理由であれ、怪我をしたのは事実なんだ」
少し不機嫌な様子で退職願を手にする桐葉さんは、受理する気満々に見える。
確かに茉莉愛ちゃんとは色々あったけれど、こんなのを望んでいたわけじゃない。私としても複雑。
しかし桐葉さんからは『そういう訳だからこの件は終わりだ。忘れろ』と仕事に戻るよう最後まで切り捨てるように言い放たれてしまった為、黙って言う事を聞くしかなく……
ただ───
今日の外仕事の終わり、私は茉莉愛ちゃんの家に寄る事にした。
会ってくれるかはわからないけれど───



