最後の恋って、なに?~Happy wedding?~


 これはどういう事? 何か深い意味あり?
 いやでも、桐葉さんの事だからまた『仕事に個人的感情を持ち込むな』って遠回しに言っているのかもしれないし。

 いつもの事だよね、と自分に言い聞かせながら私もいつもと同じような返事をする。

「えっと……安心して貰って大丈夫ですよ。仕事に私情は挟まないですし、支配人に迷惑はーー」
「そういう事を言ってるんじゃない」

 けれど最後まで言い切る前に、一切の躊躇いもなく否定されてしまった。

 そういう事じゃないって……じゃぁ何なの?

「支配人……?」

 彼の意図したい気持ちが見えなくて、もう一度聞き出そうと問いかけてみるも桐葉さんはムスッとした表情は更に強く眉間の皺を濃くさせながらコホンと軽く咳払いをする。

「と、とにかくだ。何事も気をつけろ」

 そう言って、まるでヤケになったようにグラスに半分ほど残っていたお酒を一気にグビッと喉に流し込んでいる。

 もしかして桐葉さんーー

「酔ってます?」
「は?」
「じゃなきゃ支配人に限ってそんな言葉……言わないですよ」
「悪かったなぁ。俺らしくない発言して」

 盛大な溜め息を吐きながらガクっと肩を落としてうなだれるところをみると、どうやら私の見立ては違っていたらしい。
 やっぱりこの人が何を考えているのか、よくわかんないや。