最後の恋って、なに?~Happy wedding?~

 さすがに適当に返しすぎたかな。と、ちょっとマズイと感じ私はすぐに訂正に付け加えた。

「別れていますし、もう私がこれ以上2人に口を挟む義理はないですから」

 しかし桐葉さんは何か反応を示すわけでもなく、どこに視線を向けているのか正面を向いたままボーッとしながらチビチビとお酒を嗜んでいる。
 その横顔からは、今日はイマイチ表情が読み取れない。でも何か考え事をしているかのようにも見える。……気がするけど。

 話が途切れてしまい、私も彼と同じように正面を向いたままお酒の合間に料理を口に運ぶ。

 優雅なクラシックが流れる穏やかな店内に、無言な私達。
 あまりに静かだとこれはこれで少し緊張するな。

 そんな事を呑気に考えながらマスターに次のお酒の注文をしたタイミングで、突然桐葉さんが口を開く。

「なぁ……もうアイツ等の事は放っておいたらどうだ」

 急に何事だろ? と首を傾げながら横に顔を向けると、彼は飲んでいたお酒のグラスをテーブルに戻しながら私に顔を向け、少しムスッとした表情で続ける。

「あの男に、もう関わらないでくれ」
「え……」

 聞き間違い……だと思った。

 彼と目を合わせたきり、まるで表情だけが金縛りにでもあったかのように瞬きが出来ない。

 それほど驚いた。だって……桐葉さんがそんな事を言うなんて、信じられないーーーー