さっきの食事の誘いも、同じように悪びれる様子もなく平然と受けていた。これがこのコの怖いところかもしれない。
「ところで……棗さんがこちらにいるのはなぜですか?」
「え……」
急に茉莉愛ちゃんから話を振られてしまい一瞬こっちがハッと動揺するが、それを見過ごさなかった彼女は、私の《《痛いところ》》を突いてくる。
「もしかして……私の動向を探っていた、なんて事はありませんよね?」
クスりと口元を緩ませて笑顔を見せているようだけど、目は笑っていない。黒い瞳の奥からは”なんでもお見通し”とでも言いたそうに、確信を持った言い方をしてくる。
まるで見透かされているみたい―――
「瑠歌、そうなのか?」
凪まで茉莉愛ちゃんの声に耳を傾けて私に疑いの目を私に向けてくる。
「それは違う。でもさっきのは―――」
本当の事を言おうか悩んで途中まで言い掛けたけど、凪から責められているような視線に……耐えられなくなって口を噤んだ。
何も知らないくせに。
そう思ってしまったら最後、私は妙に腹立たしくなってきてしまい強めの口調で言い返す。
「凪は自分の目で見て知って、気が付いて。いいかげん目を覚ましなよ」
茉莉愛ちゃんの方を一切見ず、半分怒りを込めて凪に一言突きつけて2人に背を向けた―――



