まさか茉莉愛ちゃん……お客様からのご飯に誘われてる?
それも相手は男性。断るどころか迷わず受け入れていたけど、凪がいるのにどうして……?
嫌な緊張感。静かに聞いてるこっちがドキドキして心拍数が上がる中、話を済ませた鈴木様はそのまま正門から出て行き、時間差で茉莉愛ちゃんも植木から出る為こちらに近付いていた。
このままここにいたら盗み聞きしていた事がバレるっ
慌てて後退するも、背後からの《《人物》》の存在には気が付かなかった。
「瑠歌?」
「えっ」
この状況下で、よりによって会ったらマズイ相手。
「凪……」
「瑠歌、こんなところで何してるの」
「棗さん? それに凪くんも……」
茉莉愛ちゃんとの間で、複雑に挟まれてしまった―――――
「えっとこれは……」
逃げ道を失った私は顔を引きつらせながら脳内で必死に言い訳を模索していて、茉莉愛ちゃんもまた、私と凪がここにいる事に驚いて目を丸くしている。
「茉莉愛も何してるんだよ。こんなところで」
眉間に皺を寄せ疑いの眼差しを向ける凪に茉莉愛ちゃんが何て答えるのか固唾を呑んで待っていたけれど、彼女は驚いた表情から一変。笑顔を含めて平然と答える。
「ゴミが落ちていたから片付けていただけだよ」
明らかに嘘だって。こんなの誰だって気付く。
なのに戸惑う様子もなく余裕そうに答えるから、本当の出来事みたいに聞こえてしまう。



