最後の恋って、なに?~Happy wedding?~


 仕事モードに切り替えて元カノとしてではなくマネージャーとして強気に伝えると、さすがに凪も感情が収まったようで『言いたい事はわかった』と素直に首を縦に振ってくれた。

 付き合ってた時は1度もなかった喧嘩も、今は顔を合わせる度にこんなのばかり。こっちは茉莉愛ちゃんの事で無駄に凪と言い争うなんて望んでないのに―――

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 この日、茉莉愛ちゃんの件は桐葉さんに任せて私から彼女に連絡をする事はなかった。
 同棲を聞いてしまったから、傍に凪がいるのが頭にチラついて電話をする気になれなかったって理由も多少はあるけれど……。

 明日は出社するかなぁ? と心配していたけれど、翌朝茉莉愛ちゃんはいつもと同じ時間にきちんと出勤してきて、同僚にニコやかな笑顔を向けている。
 私に怒っているのかな。どんな顔して対応したらいいのだろうとこっちが気を使ったけれど、彼女は意外な反応を示してきた。

「おはようございます棗さん。一昨日は感情的になってしまった事と、昨日は急にお休みまでしてすみませんでした」

 出勤するなり自ら私のデスクに足を運び、いつもの穏やかで柔らかい表情をしながら軽く頭を下げて謝罪の言葉を口にする。
 1日経って頭が冷えたのかな? と、素直に反省の気持ちを受け入れたのに。

 そういうんじゃなかった――――