「茉莉愛の事を気に入らないからって、証拠もなしに疑って責めるのはおかしいだろ。それじゃ彼女があまりに可哀想だ」
「ちょっと待ってよっ 私がいつ彼女を気に入らないなんて言った!?」
「見てればわかる」
「そんなっ……」
度重なる衝撃発言に何から受け入れていいのか思考が追い付かず、血の気が引いてしまい反論して言い返す事が出来ずに立ちすくんでしまう。
まさか凪にはそんな風に映っていたなんて……
いくら今の彼女が大事で私の事を好きじゃないからって、最近まで付き合っていた元カノをそこまで敵にする? 茉莉愛ちゃんが100%下心なく仕事をしているって保証がある? どうしてそこまで信じられるの。
聞きたい事も言いたい事もたくさんあるけれど、でも今はそういう話をしているんじゃない。
今現在直面している事態をフッと思い出した私は、目を閉じて小さく『感情的になるな』と自身に言い聞かせながら深呼吸をすると、冷静に話を元に戻した。
「今回の件はそれとこれとは話が別。私の個人的な感情は関係なくて、不安に思っているのは新婦様なの。信じるのは勝手だけど、少なくともこちら側がそういう気持ちにさせている事は理解して。このままにはしておけない。潔白ならそれでいいけれど、もしこれが本当なら式場全体の信用に関わる問題だから」



