確かに、桐葉さんに相談する前に私は茉莉愛ちゃんを呼び出した。彼女だけじゃなくても、今までもマネージャーという立場的に何かあった時は常に私が対応してきたから。
それに今回の件は《《男女》》のナイーブな問題。男の桐葉さんが介入するより良いのかなと勝手に判断したけれど、事後報告にしたのは間違いだったのかもしれない。
「すみません……支配人に相談もなく勝手な事をしてしまって……」
今回ばかりは言い訳の言葉も見つからず、軽く頭を下げながら素直に謝罪。
説教をされても仕方ないと覚悟はしていた。
しかし――――
「そういう嫌な役目は俺が引き受けるから」
「え……」
返ってきた言葉は、私の予想とは反していた。
「もちろん直接本人に伝えなきゃいけない時もあるが、今回の件は俺が責任を持つ。お前だけが負担に思う必要はない」
彼は無表情に言い方もぶっきらぼうだけど、言ってる事は優しくて少しだけカッコいいとさえ思ってしまうくらいには頼もしい上司の姿をしていた。
それが返って変な感じ。仕事に対してストイックな人だから、今まで相手をフォローするなんて事しなかったのに。
「詳細を説明しろ」
「あ、はい。ありがとうございます……助かります」
私はその場で昨日の新婦からの話も含めて、全て彼に話した――――



