まだ残っていた数人の女性スタッフは、茉莉愛ちゃんの声を聞きつけて何事かと驚いた様子で入り口からこちらの様子を窺っている。
これ以上野次馬が増えたり大ごとになるのを避けたくて「何でもないから気にしないで帰って」と帰宅を促すも、コソコソ何か話しながら去っていく姿は見てわかる。
色んな意味で状況は最悪かもしれない。
明日、桐葉さんに相談して今後の事を一緒に考えてみるか……と、この日は私も帰宅する事に。
―――しかし事態は良くない方向に。
***
「欠勤……ですか」
今朝になり出勤してみると、桐葉さんから茉莉愛ちゃんのお休みの連絡を受けて唖然とした。
無断で休んだわけではないにしろ、まさかそこまでだなんて……
「体調が悪いらしい。昨日までそんな素振りなかったが、急だな」
「いえ……思い当たる節はありますので……」
休んだ理由は明白。けれど何も知らない桐葉さんには状況が把握出来ずに不思議そうだ。
それもそう。彼には今日話すつもりだったのだから知らなくて当然。
私は桐葉さんに『話がある』と人気のない別室に連れ出し、『実は……』と昨夕の出来事を話した。
「なるほどな。そんな事があったのか」
聞き終えた桐葉さんは怒るでもなく冷静に、腕を組んで飲み込むように納得した上で続ける。
「どうしてこうなる前に先に俺に相談しなかったんだ」
と―――



