真剣な眼差しは私から逸らす事はなく、答えるまでは解放してくれなさそう。
だからって言い訳染みた説明をしたところで信じる? 凪はどんな反応をする?
何も答えられなくて口を噤んだまま沈黙を貫いていると、凪は痺れを切らしたのか肩を落とし、落胆したように続けた。
「瑠歌が誰の家に泊まろうが俺にはもう関係ない事だから。だけど……」
この言葉だけでズキンと心臓に釘でも刺さったような痛みが走る。なのにその一瞬の”間”に更に緊張感が増す。
「……瑠歌も案外、手が早いんだ」
まるで捨て台詞を吐いて、まとめたゴミ袋を担いで私の元から離れていった。
ポツンと惨めに残された私は・・・ちょっとカチンと頭に来た。
何あの言い方は。確かに《《だんまり》》を決め込んで肯定も否定もしなかったけど、だからってそれで”ヤッちゃいました”って決定づけられるのはちょっとおかしくないか? 凪と一緒にしないでよ。私はそこまで手が早いとか……
「泊まった時点でアウトだったかな……」
考えてみると急に冷静になる。事実無根だとしても、否定しなかったから誤解されて仕方ないよなって。
どちらにしろ1番知られたくない人に泊まった事がバレるなんて……最悪。
***
それから―――
全ての片付けも終わり、その後のミーティングと事務処理もそろそろ終盤に差し掛かる。



