内廊下の先を進んでいくと、突き当たりの部屋の前で桐葉さんが立ち止まった。
どうやらここがそうみたい。角部屋なんだ……。
「入れ」
「はい……では、お邪魔します……」
先に中へと入っていく桐葉さんの後を追って躊躇いながらも玄関に入ると、 もうその時点で桐葉さんの部屋が広いというのが伺えた。リビングへと続く廊下は天然石のようで、傷1つなく光っている。
こんなホテルみたいなマンション、初めて来た……
「上がって適当に座れ」
「あ、え……」
また呆気に取られている私など気にする様子のない桐葉さんは、廊下の奥へと消えていってしまった。
「色んな意味で緊張するんですけど……」
玄関にいつまでもいる訳にはいかないし、意を決して中にお邪魔する事に。
玄関に敷かれている手触りの良さそうなモコモコしたマットに一歩を踏み出し、廊下の先の未知なる世界へと足を進める―――
「うわ、凄っ……」
目の前に広がる光景は、まさに”ハイグレード”
オープンキッチンになっていて、想像以上に広く家具から何から真っ白に統一されている。何がビックリって……桐葉さんに”白”のイメージがなかっただけにこれは……。
「風呂の準備してるから座って待ってろ」
隣の部屋から戻ってきた桐葉さんは既にジャケットを脱いでいて、ネクタイと腕時計も外し始めている。



