桐葉さんの指示の元、私達は2人で修正作業を開始。
私は席次表のデータを直し、彼はエンドロールのデータを担当。それぞれが終わったら2人で全印刷のやり直しと差し替え、最後に会場の位置の変更を。
あれほど途方に暮れていたのに、桐葉さんがいるだけで不思議と不安もなくなり効率が良いおかげか順調に作業も進む。けれど量が量なだけに、どうしても時間は掛かってしまった―――
「よし。あとは最後にもう一度チェックして終わりだ」
「なんとか間に合いましたね」
ようやく最終確認のところまで来てお互い安堵するけれど、時計を見るとすでに深夜の2時近くになっている。
これはちょっとまずい。
「お前はもう帰れ。あとの作業くらいなら俺1人で出来る」
「え、でも……」
私が時計を気にしていた事に気付いたのか、桐葉さんは作業の手を止めずに促してくれる。
「明日は朝も早いんだ。少しでも寝て休め。じゃないと1日保たないぞ」
「そう、ですね……」
一晩寝なかったくらいで1日保たない事はないけれど、確かに万全で望むなら例え数時間でも横になった方が良いのはわかる。けれど今の私にはそう簡単にもいかないのが事実で――
「そうしたいのは山々なんですが……終電がないので帰れないんですよね」
最後の方は聞こえるか聞こえないかくらいの小声で呟くと、彼はハッとしながら時計に目をやり溜め息を吐いた。



