「彼の夢を見たの」 黒髪の彼。 名前は思い出せないけれど、私にとって大切な人だと言うことは何と無くわかった。 思いだそうとしても、なにか霧がかかったようにぼんやりとした、不鮮明な残像が浮かぶだけだ。 「ゆっくりでいいわ」 ぎしり、と小さくベッドが軋んで。 彼女は静かにベッドへ腰掛けた。 「だんだんと記憶は鮮明になっていくから」 自らの体験を語っているのだろうシオンさんは、ゆっくりと目を伏せ口にだけで笑った。