★初愚工★
苺美の赤の味を知ってからの時間は、作業、手伝いの時間と化する。
ずっと【201号室】に聞こえて来ていた音が、今、目の前にある。
あの時の音はコレ…。コレがあの音…。
合わさって行く。
秒と秒で立つ音。
離れる赤。
コレがアノ音、コノ音がアノ時聞こえてた音。コレアレがパズルのように合う。
そっかコレだったんだ…。
音の度、音と一緒に離れて、小さくなって行く赤い苺美だったモノ。
この音はさすがに【201号室】には届かないか…。手元で消えて行く音とモノ。
やっぱり【201号室】に聞こえていたのは、大きく切断する時の音だった。
そして、その音の時に【204号室】の犬も吠える。鳴く。うるさいの?欲しいの?
ただただ、1つ1つを理解して行く。
「覚える。忘れるな」と言われたから。約束したから。
見ていると「手伝って。これ、洗い流して」と雨哥の手に何か塊が渡された。
触るのも見るのも多分初めて。
これが何なのか、どの部分なのか分からない。
生温かい。ヌルッとしている。
「表面、破らないように。血だけ洗い流して」と指示され、注意し、優しく洗う。
それが “肝臓” だったと後から教えてもらった。
作業は続く。覚える。それだけの事。