★疑の音★
ビーズの作業は深夜に集中して進めた。
日中、いつもより多く外に出る。
苺美が行動するのを待つ。
昼間は少しでも空けておいた。
普通に呼び出して聞いても正直に答えないだろう。
かと言って変に行動しても「こんな事したくせに」とこちらの落ち度を責めるだろう。
なるべく自然に家を出て、いつも向かうコンビニや駅へと足を運ぶ。
たまに琉羽に会う。前より琉羽と過ごす時間も自然と増えた。
嫌だけど、それに関しては苺美に感謝だ。

苺美には言わない「ありがとう」を夕飯を目の前に並べ、琉羽が雨哥に言う。
苦手な料理も前より上手くなった。
でも琉羽はなるべくなら雨哥に料理をさせたくないと思っている。
雨哥の手料理が下手だから…ではない。
少しでも手に怪我をさせまいとしている。
ビーズ作業をする大切な手・指だから。
怪我をしていると、そこにテグスが当たり痛むから。
それを聞き、雨哥も料理をするのは琉羽の家に行った時、その時に雨で、出前を頼むのも大変そうな時だけにしている。
雨の日の配達なんて、嫌だろうと琉羽が笑って考えた手料理をする日のルール。
琉羽のそんなユーモアを持たせて納得をさせるセンスにいつも感心する。
だから雨の日に琉羽の家に行った日だけ、雨哥は料理をする。
そんな日が過ぎる中で、何度目かの外出の日、気付いた。