「僕が、坂井さんの隣にいちゃ、だめかな?」


__やっばあ……。すごい場面に出くわした。


俺は校舎の陰に身を隠して、その力強い言葉を背中で受け止めていた。

__「じゃあ園田も、逃げずに答えてみろよ」

ちょっと煽りすぎただろうか。
挑発するつもりはなかった。
自分で言ったくせに、園田に掛けたその言葉を思い出して苦々しくなる。
思わず手に持ったサッカーボールに、ぐっと力がこもった。

本当ならここで、彼氏として飛び出していくところなんだろう。
あの文化祭の日みたいに。

「何やってんだよ」って。
「何言ってるんだよ」って。

だけど今の俺にそんな資格あるのだろうか。

俺、ちゃんと彼氏、できてたのかな。