誰にでも、自分の汚い部分を知る瞬間があるのだと思う。 人間は完璧じゃないし、弱い、汚い部分がない人なんていない。 だけど、この時に感じた罪悪感は、まだ子供だった私には大きすぎる戒めだった。 それ以来、私は、あの人の目を見ていない。 父とも、母とも、目を見合わせることができない。 飾られた、伯母の写真とも。 目を見合わせると、醜い自分の願いが見透かされてしまいそうで。 私は、あれから一度も、大事に思っていた人の顔を、まっすぐに見られずにいる。