机に行儀よく座って行う授業形式ではなく、遊びを取り入れながら、のびのびと知見を広げていけるような教室が理想だった。

「小さい子どもは成長するスピードが一定じゃない。年齢できっちりクラスを分けて授業をするのではなく、子供ひとりひとりの個性に合った学習方法を提案する形をとりたい」

会議で陽菜との会話から思いついたワークショップを提案してみると、やはり懸念を示す声もあった。

そんな彼らにも納得してもらえるよう、チーム全員で一丸となって、このプロジェクトを成功させたいのだと意気込みを語る。

「受験対策がニーズが高いというのもわかるが、それは既存の教室で飽和している。今現在ニーズがないというのなら、自分たちで作ればいい。このチームで幼児教育の新しい流行を作り出したい」

俺のプロジェクトに対する熱意がチームに伝わったのか、ワークショップの開催が決まり、実際に親子の反応を見ながら教室の方向性を固めようと決まった。


「麻生くん」

会議室から出ようとしたところを、池田から呼び止められた。

十月に新事業部に異動となり、それに伴い昇進したので、同期とはいえ彼女は俺の部下となる。