それから黙々と片付け作業をして気づいた時には夜の9時を回っていた。
「一颯くん!帰らなくていい!?」
片付けに夢中になりすぎてて時計を見てなかった私は焦って一颯くんに聞くと、一颯くんは時計をみてふぅ、と息を着く。
「母親帰ってこねーな」
「えっと、そうだね」
あの言い方じゃ当分帰ってこないのかな、とは思ってるし大丈夫。
そんな私の顔を見て一颯くんは立ち上がる。
「また明日片付け手伝いに来てやるよ。」
「そんな、悪いよ!」
「まだ妹の誕プレ選んでもらってねーし」
「そ、それもそうだ!」
「じゃ、今日はちゃんと寝ろよ」
言い方はきつくても思いやりのある言葉に笑い返すと一颯くんはそのまま出ていく。
まだまだ散らかったままのお店の中を見て1人になった私は思わずため息が出た。
「はぁ…」
お店はどうなるのとか家族がどうなるのとか不安はいっぱいあるけど、とりあえず目の前のことを何とかするしかないよね。
「よし、頑張るぞー!」
楽しい夏休みは始まったばかりなんだから、きっと大丈夫。
私はそう自分に言い聞かせて2階の我が家に戻った。


