だめ、トト先輩を意識してどうするの?
私なんかが相手にされるわけないじゃん。
「ハルちゃんは怖がりさんなんだねっ?
でもそれって優しいからだと思うよっ!」
「え?」
「僕もナギくんもトラくんも、色んなことに寛容で人の趣味嗜好に引いたりなんてしないから安心して友達になってよっ!」
「そんな事言われても…」
そんなの口ではなんとでも言えるし。
それにトラ先輩はまだ未知数だし、ナギ先輩もまだ私は少し怖い。
「僕もナギくんもトラくんもそれぞれ事情を抱えてるからさっ?
僕は男なのに女みたいに可愛いってよく気持ち悪がられるしっ!
でも恋愛対象は女の子だよっ?
ナギくんやトラくんも事情はあるけど僕からは言えないけどね?」
気持ち悪がられる、それを笑って言えるなんてすごい。
私はオタクで気持ち悪がられただけでこんなにひねくれてしまうのに。
素敵だな…。
「トト先輩、私は恋愛対象内ですか?」
「もちろんだよっ!ハルちゃんはすごく魅力的だよっ!」
その言葉を聞いた瞬間、私にはまさにトト先輩が光り輝いて見えた。
どんよりしていた景色が鮮やかに色付いた。
これはもう、認めるしかないよな…。


